春のお彼岸には | 世界遺産 真言宗御室派総本山 仁和寺
今月の法話
今月の法話
25/03/01

春のお彼岸には

古い歌に・・・「春彼岸、菩提の種を播く日かな」という句があります。この春先は、あらゆる植物が発芽し、芽吹く時期でもあります。ダイナミックな生命の躍動を感ぜずにはおられません。この良き気候の春に仏さまの教えの種をまいておけば、きっと秋の収穫には実り多き、すばらしい仏の世界に生きることができることを歌ったものといえますでしょう。

種をまかずして収穫はありえないわけで、是非とも、この温暖な春の日に仏さまの教えに触れてみては如何でしょうか・・・仏さまの教えは、生命のあるもの全てが幸福に生きること、安心して生きるという心の安らぎを得ることを説いています。

それを支える根本には~正しく生きる、生き方が求められております。

その安らぎの根底には常に真実ということ、即ち正しいあり方が語られているのであります~その仏さまの真理とは、私どものあらゆる能力、はからいを越えたところにしか見ることが出来ないというのが仏教の基本的な考え方といえます。

聖徳太子の言葉に「世間虚仮・唯仏是真」(せけんこけ・ゆいぶつぜしん)と言い表したものがあります。

その内容を見れば~「お金や地位や名誉や権力などを価値あるものとしている世間は虚しく仮のものであり、ただ仏の教えが真実である」という意味ですが、そこには自身の心が~素直に心から仏を信じる心があるのか~お計り下さい・・・・例えば、母親が赤ん坊を抱え、笑顔をもって赤ん坊を眺めている姿は、無言の愛らしい姿ではないでしょうか~その姿と心は~仏と自身の関係が、心から信ずる素直な心としてして例えられませんでしょうか。

お彼岸といえば不安がつきまとう「此岸」から、安らぎの世界「彼岸」に到る方法に六ッの項目をあげています。

六ッの項目とは、六波羅蜜「ろくはらみつ」と言い~①布施「ふせ」 ②持戒「じかい」 ③忍辱「にんにく」 ④精進「しょうじん」 ⑤禅定「ぜんじょう」 ⑥知恵「ちえ」 

今回はその中の〈精進〉について考えてみましょう。

世の中には何をやっても器用にやる人と、何をやっても不器用の人かいます。

しかし器用だから成功し、不器用だから成功しないとは決まっていないから世の中はおもしろいのです。むしろ不器用だから一つのことを一生懸命に努力するところに成功があり、それが仏教で云う精進の姿であります。

成功した人の苦労話を聞きますと例外なく努力によって大成しているようです。七福神の神さまの中に大黒さまがおられますが~皆さんは大黒さまのお姿はよくご存じと思います。大黒さまはこの精進の姿を現している神さまの一人です。

精進の文字を分析しますと、お米を青くするように進めると書いてあります。籾「もみ」を槌「つち」でつきますと皮がとれて青くなり、更につきますと白米になります。籾「もみ」と白米とは本質的には同じものですが、籾「もみ」のままでは食べることはできません。籾「もみ」をつくことによって白米にする努力が必要です。

この大黒さま大きな袋をかつぎ左手でその口をしっかりとつかみ、右手に大きな木槌をふり上げて、そして米俵の上に乗っています。大黒さまの槌は成功の原因、大きな袋はその結果を表しているのです。

大黒さまのお姿は正に成功の原因と結果を同時に表しています。

私たちは誰でも目に見えぬ~大きな槌「つち」と大きな袋を持っているのです。つまり一生懸命に自分に与えられた仕事に精進努力すれば、やがてはそれにふさわしい結果が必ず報われると信じます。

【1に精進~2に精進~3に精進】と・・・三回この言葉を是非くり返し唱えて下さい・・・・自身の心が明るく素直な心になります。

本年の春のお彼岸は~特に・・・自身と仏との出合いのお彼岸でありますように~お祈りしています。

お身体には何卒ご自愛下さい・・・ではまた・・・・ 再拝