今月の法話
今月の法話
22/12/01

百人一首「坊さんめくり」

その昔お正月になると、よく百人一首のカルタ取りをしたものでした。その百人一首に「坊主めくり」という遊びがありました。これは絵札を百枚裏返しに積んで、参加する者が順番に一枚ずつめくっていくのです。

そしてその絵札をお姫さま・お坊さん・その他の三種類に分け、その他がでたらそのままもって、お坊さんが出たら今まで持っていたものを全部はき出し、お姫様が出たら皆がはき出したものを全部もらえるというルールでした。

たくさん持っていてもお坊さんが出るとスッカラカンになるし、スッカラカンでも最後にお姫様が出れば一挙に一番になれるという~結構スリリングな遊びを思い出しました。

この話を友人にしたところ「この遊びは人生に似ているなぁ・・・」と言われました。「何で・・・どうして?」と聞くと、「人生は特別な日より、普通の平凡な日のほうがはるかに多いし、いい時も悪い時もあるでしょ~坊主めくりは普通の札が一番多い訳だけど、突然坊さんが出てきて何もなくなってしまう。でも坊さんばかり出てくることは決してない。いつかお姫様が出てくる。又、お坊さんばっかりとか、お姫様ばっかり出てくることも絶対ない。考えてみれば人生そのものじゃないか」というんです。

なるほどと感心し~ふと以前、NHKの番組で「おしん」を思いだしました~最終回近くで出て来たセリフの中に「自分が傷ついて始めて人の痛みがわかる」という言葉がありました。

両親をはじめ、つれあいや子供など、肉親の死に会い、あるいは失恋や事業の失敗、はたまた事故、天災など、苦しい悲しい目にあってこそ、他人さまの苦悩が理解出来ます。お経文の中に「衆生病むが故に我れ又病む」と示されていますように、私たちの自身の慈悲の心というのは、さまざまな苦難にあって芽生えてくるものだと思います。

人の心のまことをぞ知る~苦難の中でこそ味わうことができるのでありましょう。仏の教えは、この世のことを「娑婆」すなわち、耐え忍ぶところと申しますが、生老病死「さけられない四っの苦しみ」をはじめ、幾多の苦しみ悲しみに耐えて生き抜いていくところに、必ず明るい道が開け、やがて大きく菩提「心の平安」の華が開くのであります。

人生も思い通りにならないからといって悲観することもないし、良いからといっておごってもいけないのです。

来る次年度(ウサギ歳)はどんな年になるか~へこたれず、おごらず、頑張って新しい年を迎えましょう。

あなたのご多幸を仁和寺よりお祈り申し上げています。