今月の法話
17/09/27
【仁和寺の法語】一味和合
― 弘法大師の一味和合 ―
僧伽は梵名なり。一味和合という。意を等しくして上下諍論無く、長幼次第あり、乳水の別無きがごとくして仏法を護持し、鴻雁の序で有るがごとくして群生を利済すべし。(性霊集)
これは、僧団の在り方を弟子たちにお示しになったものであるが、ただ、僧団の組織だけでなく、職場や家庭と広く社会においても心得ねばならない人間社会の規範であり、生活の秩序であるといえる。
僧伽とは、仏の教えを実践する団体のことを云ったのであるが、仏道修行のための共同体であるから上下に争いがあってはならない。一体であるけれども長老と幼いものには順序があるのは、当然であり、秩序の無い団体が乱れるのは当然のことである。先輩は経験浅き幼い者を導き、幼い者は先輩に教えを乞わねばならない。それは、乳と水が混然一体となって交わるがごとく、また一糸乱れずに雁が飛ぶように組織を整えて大衆を指導し救済しなければならないのである。民主社会にあっても和の中に厳しい秩序がなくては発展もない。仏も法も、僧という基盤に支えられている。和という基盤が崩れれば総てのものは崩れるのである。
もろともに一味の雨はかかれども 松は緑に 藤は紫
雨あられ 雪や氷と異なれど 落つれば同じ谷川の水