わが子に学ぶ
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脳腫瘍「のうしゅよう」で両眼とも見えなくなってきた小学校五年生の子供さんを、お母さんは病院に入れ、夜も寝ずに介抱しておりました。
それから数日後、お医者さまはお母さんを呼んで言われることは、「お気の毒だけれども、坊ちゃんの容態は手をつくしたけれどもかんばしくないので、お母さんは覚悟していただかなくては~」と伝えられました。
しばらくして、子供さんが~「お母ちゃん、ぼく死んだらどこへ行くの」・・・と聞きました。その度にお母さんは・・・「お医者さまがついて下さるから元気になれるわよ」とはげましていましたが、再三言うので辛抱できず・・・「あのね貴方が死んだら先におじいちゃん、おばあちゃんが逝った、仏さまのお国、浄土というところへ行くんだから大丈夫・・・」と、お母さんが言うと~今まで寂しそうな顔をしていたお子さんは、ニッコリと笑って「じゃぁ~あとからお母ちゃんも来てね。ぼく先に行って待っているから・・・」と言い、それから一週間後に浄土に旅立ちました。
その日から、お母さんの勉強が始まりまし~仏とも法「おしえ」とも知らないこのお母さんが言われるのには、「私はどうしても仏さまの国に往生できる人間にならなくてはならない。もしもそうでないなら我が子に嘘をついたことになる」と、真剣に仏の法「おしえ」を聞かれるようになりました。
この子供さんの死によって、あってはならない不幸なことではありましたが、お母さんは多くの仏縁を得られ、その事実を受け入れ理解を深めたと聞き及びました。
それ以来、ご自身の救いにつながったと確信を得ました。
そんな中、本棚をふと見上げ、手にしたあるお経文を開いてみると・・・
「人間として生まれてくることは大変難しいことだが、今すでに人間として生まれて来ることができた。み仏の教えを聞くというご縁もなかなか恵まれないが、今すでにこのように聞いている。それならば、今あるこの身を大切にしなければ、一体いつの世にするのか」・・・とありました。
庭の片隅に、梅の花もチラホラと咲き、もうすぐ~ウグイスも鳴く季節が待ち遠しく~早く 々 ~耳を澄ませば・・・「ホーホケキョ」~「法を聞け」~教えを聴けと小鳥のさえずりあらばこそ、ウロコ落としてしかと気がつきます。
詩人、金子みすずさんは「わらい」と題して・・・
それはきれいなばらいろで 芥子「けし」つぶよりかちいさくて
こぼれて土に落ちたとき ぱっと花火がはじけるように
おおきな花がひらくのよ
もしも泪「なみだ」がこぼれるように こんな笑いがこぼれたら
どんなに、どんなに、きれいでしょう
今日も良い一日でありますように~お祈りしています。
仁和寺境内の桜のつぼみは、いまだ固く春が来るのを待っている~私たちの心のつぼみも一日も早く咲き、明るい笑顔で過ごしたいものです。
立春とは申せ寒さ未だ厳しき折~お身体大切に・・・・ 合掌